蚕糸・昆虫バイオテック
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次亜塩素酸ナトリウムと炭酸ナトリウムの相乗効果によるカイコ核多角体病ウイルスの不活化促進法
野澤 瑞佳伊藤 寛代田 丈志
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2011 年 80 巻 2 号 p. 2_123-2_128

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抄録

 多角体に包埋されたBmNPVは,炭酸ナトリウム水溶液で希釈した次亜塩素酸ナトリウム水溶液によって不活化が促進された。すなわち,BmNPV懸濁液(1.05×108OBs/ml)を,0.3%(w/v)炭酸ナトリウム水溶液で500倍に希釈して得られた次亜塩素酸ナトリウム水溶液(遊離塩素濃度100ppm)と1:9の割合で5分間混合し,滅菌脱イオン蒸留水で10倍に希釈したのちに,人工飼料へ滴下してカイコふ化幼虫に添食した結果,供試頭数30頭3連制3回試験において核多角体病を発症したカイコはいなかった。一方,同様の生物検定法により次亜塩素酸ナトリウム水溶液(遊離塩素濃度500ppm)と0.3%炭酸ナトリウム水溶液で単独処理した場合には,カイコは全て発病した。0.3%炭酸ナトリウム水溶液で調製した次亜塩素酸ナトリウム水溶液(遊離塩素濃度100ppm)のpH安定性とBmNPVの不活化に及ぼす人工飼料の影響を調べた結果,pHの安定作用とBmNPVへの不活化効果を確認した。これらの結果をもとに,次亜塩素酸ナトリウムのBmNPV不活化特性を考察した。

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© 2011 社団法人 日本蚕糸学会
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