テントウムシなど一部の昆虫が行う反射出血(reflex bleeding)に注目し,対象生物を殺さずにDNAを抽出して解析する手法の確立を試みた.最初に,反射出血によって分泌された血液からDNAを効率よく抽出する方法について検討した.次に,抽出DNAを鋳型としてPCR反応を行い,塩基配列の決定を試みることで,反射出血を用いたDNA解析の可能性を検証した.その結果,シリカゲルを用いた抽出法により,反射出血からDNAを採取することができた.また,少なくとも,ミトコンドリアDNAのND2や核の28Sといったような,系統解析に広く用いられている遺伝子座については,反射出血DNAを用いた遺伝子解析が実際に可能であることを示した.