日本蚕糸学雑誌
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土壤内通氣が桑樹の生育に及ぼす影響
高木 一三
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1949 年 18 巻 1 号 p. 6-14

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抄録

1. 耕転目的の1に當る土壤内通氣か桑樹の生育に大なる影響のあることを證明せんために著者は1939年に桑樹を Pot に栽培して之に土壤内通氣を試みた。
2. 土壤内通氣の効果を知らんがためには大氣の透通を許す自然土壤の状態のPot群と特殊の蝋を以て土壤面を被覆して空氣の透通を遮斷した Pot 群とに對照的に桑樹を栽培した。
3. 以上の如き Pot 群の1部には特殊の裝置に依り積極的に通氣し, 或は土壤表面を攪伴し, 他の1群には全然通氣しなかつた。
4. 以上の如き状態の各々に栽培した桑樹の形態, 大きさ及生産物の新鮮量並に風乾物量を調査した。
5. 調査の結果土壤内空氣の出入を遮斷した場合には標準 (土壤状態を自然に放任したもの) に對し桑樹の發育は甚しく劣ることを知つた。葉及莖の生産量 (風乾物量) の如きは標準に對し僅か50%に過ぎない事もあつた。
6. 自然状態 (無被覆) に於て積極的に通氣すれば標準よりも10%内外生産量は増加する。又假令土壤面からの自然大氣透通を遮断した場合でも之に通氣すれば生産は其の然らざる場合よりも増加する。
7. 土壤内通氣を行わないでも其の表面を攪伴して桑園耕転の場合に該當もしあれば通氣した場合或は夫れ以上に生産量は増加する。

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