抄録
1) この虫は1年1世代, 4, 5, 6月に蛹, 成虫, 卵の時期があり, 1年の残りの10ケ月近くは幼虫ですごす。幼虫には普通の意味の休眠はなく, 常に運動し食物をとる。
2) 自然状態の幼虫を25℃に移すと, 12月までのものは化蛹せず, 翌年2月になると全部が直ちに化蛹する。
3) 幼虫を連続同一温度で飼うと, 30℃ではほとんど蛹にならす少くとも1.5年は幼虫として生きる。25-15℃だと8ヶ月くらいから後化蛹がおこる。20℃で最も早く化蛹がおこり最も短期間に化蛹しおわる。
4) 5月孵化の幼虫を9月 (7令) から5-20℃に1-5ヶ月おき25℃に移した。5℃では化蛹なく, 10-20℃では3ヶ月処理以後化蛹があつた。15-20℃では4ケ月で化蛹率100%に近い。
5) 各温度の効果は15°, 20℃が最高でこの両側に低くなり, 5及び30℃でほぼ0となる。
6) この幼虫には休眠に似た化蛹のブロックがあつて, これからの離脱には特殊範囲の温度が効果をもち, その強さは5) のようなものである。