日本蚕糸学雑誌
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家蚕の数種の斑紋系に於ける皮膚のカタラーゼ作用力について
有賀 久雄川瀬 茂実江口 正治
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1954 年 23 巻 5 号 p. 292-295

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抄録

1. 家蚕の数種の斑紋系即ち黒縞 (ps), 虎蚕 (Ze) 及びひので (U) 等の蚕児とその比較のための対照として形蚕(+p)及び姫蚕 (p) 等の蚕児皮膚のカタラーゼ作用力を比較したところ, 斑紋系が対照系に比べて明かに強いことを見出した。
2. 皮膚に於けるカタラーゼ作用力の相違は, 同一個体中の斑紋部と無斑紋との間に於ても認められ, 斑紋部が無斑紋部に比して明かに強い。
3. 黒縞と姫蚕とを供試して, その真皮と外皮のカタラーゼ作用力を別々に測定し, このようなカタラーゼ作用力の差異は, 眠の時期を除いては常に外皮中のカタラーゼ作用力の相違に由来するものであり, 真皮中のこの酵素の作用力は殆んど差がない事を知つた。
4. このカタラーゼ作用力に於ける差異の原因を知るために, 阻害物質その他に関する1, 2の実験を行つた。

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