1954 年 23 巻 6 号 p. 357-365
家蚕蛾, 天蚕蛾及び柞蚕蛾について, 頭部の切断除去或は各部の神経球の摘出などの発情, 交尾, 受精, 産卵などに及ぼす影響を検討して次の結論を得た。
頭部内の神経球は雌の発情 (側胞の膨出) に対しても雄の発情 (雌に対して翅を振動して近づき交尾する) に対しても密接な関係を有する。
雌蛾の頭部内の神経球は産卵に対しては主働的支配力を有するが, 雄蛾の頭部内神経球は射精その他の交尾後の動作に対しては関連が少い。
雌蛾の第9神経球は家蚕の産卵に対して補助的役割を演じ, 雄蛾の第9神経球は交尾 (鉤器による雌への結合) 及び射精に対して強い支配力を示す。