日本蚕糸学雑誌
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サクサン休眠蛹の低温処理による成虫化について
田中 茂男
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1960 年 29 巻 4 号 p. 341-344

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抄録

サクサン休眠蛹を蛹化後種々の時期に低温処理し或は保温した場合の成虫化について実験を行い次のことを知った。
1) 蛹化後50日を経た休眠蛹を, 5℃ に10日から50日間の範囲の低温処理したところ, 接触期間の長いほど, ことに30日間以上において成虫化率が高く, 50日間の低温接触によって100%成虫化した。しかし2.5℃ では接触日数の長短にかかわらず成虫化率は30%前後であった。
2) 処理温度を-2.5℃, 1.5℃, 2.5℃, 5℃ および150Cとして, それぞれ30日間接触させたところ, 50Cが最も成虫化の効果が高く-2.5℃ および15℃ がおとることを知った。
3) 蚕室内の自然気温下においた休眠蛹は, 松本地方では, 11月中旬に保温すればすでにかなり高い成虫化率を示す。しかし10月初旬では保温100日後においても羽化をみなかった。
4) 1化目の休眠蛹と2化目の休眠蛹の休眠性についてみると, 前者が強い休眠性をもつと思われた。

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