触角の外毛と内毛, 上唇の感覚毛, 下唇肢, 小顋肢, 小顋粒状体, 小顋の各感覚毛について接触刺激を行ない, それに分布する感覚神経の放電を観察してそれらが接触感受器として働いていることを明らかにした。触角が桑葉の臭気に感ずることも付帯的に示したが, その記録からみて接触感受を伝える神経線維は嗅覚感受を伝えるものよりも太いことを推察した。触角に対する嗅覚の場合を除いて上にあげた器官が他の種類の感受器官をもっているかどうかについては今回は実験を行なわなかった。なお感覚毛 (S. trichodea) については組織学的に知られていた1つの毛には1つの感覚細胞が存在するということを神経放電の面から裏づけた。