1961 年 30 巻 5 号 p. 368-374
E偽対立遺伝子ヘテロにより生起されると考えられている奇形の発現率が, 卵細胞質や遺伝的背景の差異によりどのような影響を受けるかを調べた。
ED+/++蚕およびED+/+EKP蚕における奇形発現の素因はED遺伝子と+EDおよびEKP遺伝子との働き合いにより生起され, その素因の強弱はある程度対立遺伝子, あるいは偽対立遺伝子の相違によって決定されると考えられた。ただそれが奇形の発現に至るか否か, あるいは奇形発現の難易は明らかに非対立遺伝子の組成ならびに胚子発生の場である卵細胞質の状態に左右された。そして遺伝的背景においてヘテロ性の高い系統は, ホモ性の高い系統より一般に奇形の発現を抑える働きが強かった