日本蚕糸学雑誌
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支106号油蚕遺伝子の多面的発現について
渡部 仁
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1961 年 30 巻 6 号 p. 456-462

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抄録

支106号とそれから劣性突然変異として現われた支106号油蚕とを交配した結果, 交雑F1にはヘテローシスが全く現われず, 支106号と支106号油蚕の遺伝的組成は支106号油蚕遺伝子座位を除けば全く同一であり, 両系統にみられる諸形質の差は支106号油蚕遺伝子の多面的作用によるものと判断された.すなわち支106号油蚕遺伝子には, 卵色を淡くし, 卵のチロシナーぜ作用力を強くし, 不受精卵の発現に関与し, 幼虫体重, 全繭重および繭層重を軽くし, また産卵数を少なくするとともに幼虫皮膚の尿酸量を減少させ, 5令期の化蛹ホルモソ臨界期を早めるなどの働きのあることが明らかになった.

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