日本蚕糸学雑誌
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薬害枝に現われた桑の性表現の変動
南沢 吉三郎
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1964 年 33 巻 4 号 p. 305-308

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抄録
日長処理, とくに桑樹の生育中途における日長の変換処理実験中, BHC液散布によって薬害をうけた桑樹が性表現に変動を起こしたのでその実態を明らかにした。1.薬害の症状は新梢上部の葉が周縁から捲縮枯死し, 著るしいものは落葉した。また重症のものは腋芽が萌発した。2.薬害桑樹は正常桑樹に比べ例外なく雌性が強く表現し, ことに薬害を直接蒙った部位およびその附近の芽の性表現は一層顕著に雌性への偏向が見られた。3.このように薬害によって桑の性表現が雌性への変動を起こした原因は明らでないが, 少なくとも葉の損傷あるいは落葉による腋芽内花成および花性分化への生理的影響が大きく関与しているものと推考される。
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