日本蚕糸学雑誌
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家蚕の胚子発育期における炭水化物代謝
山下 興亜
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1965 年 34 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

家蚕の越年した卵および非休眠卵の胚子発育期におけるグリコーゲン, トレハロースおよび還元糖量, ならびにフォスブォリラーゼおよびトレハラーゼ活性の変化を測定して, 胚子発育期における炭水化物代謝を検討した。
1) グリコーゲンは越年卵では胚子発育と共に一様に減少するが, 非休眠卵では反転期から眼点期にかけて急減した。
2) トレハロース量は越年卵では催青開始時にすでにかなりの量が存在し胚子発育と共に減少し, 反転期以後再び増加して眼点期直前に最大になり以後急減した。一方非休眠卵のトレハロースは産卵直後は極めて少ないが, 反転期以後は越年卵と同様の消長を示した。
3) 還元糖はトレハロースに比較してその含量が一般に少なく, 越年卵, 非休眠卵ともにトレハロースの減少する時には増加する傾向にあった。
4) 越年卵でのブォスフォリラーゼ活性度は反転期以後から急激に増加し, 眼点期に最大となった。またトレハラーゼ活性度は胚子発育の前期に一時的に高くなり, 続いてわずかに減少し再び反転期後から高くなり, 眼点期に最大となり以後漸減した。

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