日本蚕糸学雑誌
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家蚕の繭糸長と繭糸繊度の淘汰に関する研究
小針 喜三郎藤本 直正
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1966 年 35 巻 6 号 p. 427-434

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抄録

家蚕の繭糸長, 繭糸繊度および繭糸量のうちの1形質のみを対象として淘汰を行なうと, 他の繭質に如何なる変化を及ぼすかを, 二化性中国種支川を用いて調べ, 繭糸長と繭糸繊度に対する淘汰方法はいかにすれば良いかを究明した。
1) 繭糸長を対象として淘汰を行なうと, 繭糸繊度は繭糸長とは逆の方向に, 繭糸量は同じ方向に変化する。
2) 繭糸繊度を対象として淘汰を行なうと, 繭糸長は繭糸繊度とは逆の方向に, 繭糸量は同じ方向に変化する。
3) 繭糸量を対象として淘汰を行なうと, 繭糸長も繭糸繊度も繭糸量と同じ方向に変化する。
4) 蛹体重と繭糸歩合は, 本実験における淘汰対象のいかなる場合も, 繭糸量と同じ方向に変化する。
5) 屑物歩合はいずれの淘汰の場合も, 繭糸長と逆の方向に変化する。
6) 繭糸長を長くするには, 直接繭糸長を対象として長い方向に淘汰する方法が最も良い。
7) 繭糸繊度を太くするには, 直接繭糸繊度を対象として太い方向に淘汰する方法が最も適当と考える。
8) 繭糸長を長くし, 同時に繊度を太くするには, 淘汰の効果は小さいが繭糸量を対象として重い方向に淘汰する方法をとればよい。
9) 繭糸繊度を細くするには, 繭糸長を対象として長い方向に淘汰する方法が最も良い。

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