日本蚕糸学雑誌
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蠶兒の體内に於ける食片の分布状態に就いて
櫻井 基堀込 虎雄
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1933 年 4 巻 2 号 p. 90-95

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抄録

蠶兒の5齡中飽食時及之れを絶食せしめたるものに就いて食下片數の消長を調査し其得たる結果の要點を集録すると次の如くである。
1. 5齡中に於て飽食時消食管内に保有せらるる食片數は平均13595で初期に少く、盛食期に最多量になり、此期を經過すると稍減ずる。
2. 絶食時消食管内食片總數の平均92%は中腸に存在し、此部分保有量は齡の初に於ては少く盛食期には約95%に達する。
3. 飽食時直腸内には食片總數の平均4%を保有す、前腸、廻腸、第一結腸、第二結腸には各總食片數の1%内外を保有する。
4. 絶食による食片數減少の速度は絶食の初めに速かで絶食24時間以後は極めて緩慢になり3日内外を經過すると食片は殆んど全部排出される。
5. 絶食により食片數減少の多いのは中腸に次で直腸であるが減少割合の速度は廻腸、結腸、前腸、直腸の順で直腸が最も減少の割合が遲い。
6. 絶食した場合、齡の半では食片が10%内外になつてから其状態を保つて居る期間が短いが齡の初め及び終り殊に終りでは食片が10%内外を保つてる期間が長い。

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