カイコガの種々な系統・品種の後頭形態を観察して, 次の結果をえた。
1. カイコガの後頭部は側溝部, 縁毛帯および内側板の3部分からなり, その後頭型はAPAである。
2. カイコガの後頭形態は各系統・品種間で大きな差異はない。ただ, 印度支那種の安南・マイソールの縁毛帯はいちじるしく狭く, これらが非常に特化したものであることを示唆している。
3. カイコとクワコの後頭形態は酷似している。
4. クワコの学名について検討し, いまのところ Bombyx mandarina MOOREがもっとも妥当であることを述べた。
5. カイコガ科各属の類縁関係を後頭形態に基づいて図示し (Fig. 10), Bombyx属がきわめて特化したグループであることを示した。