日本蚕糸学雑誌
Online ISSN : 1884-796X
Print ISSN : 0037-2455
ISSN-L : 0037-2455
家蚕における量的形質の伴性的発現に関する研究
IV. アラタ体のホルモン分泌機能と量的形質の発現
黄色 俊一
著者情報
ジャーナル フリー

1979 年 48 巻 5 号 p. 360-364

詳細
抄録

家蚕において伴性的に発現する量的形質とアラタ体との関係を検討した結果, つぎのことが明らになった。
1. 第4眠直前にアラタ体が摘出された幼虫は4眠蚕となるが, それらの第5齢幼虫は対照幼虫と比べて蛹化能力のそなわる時期が早く, 第5齢幼虫期間も短かい。その結果幼虫の最大体重や全繭重,蛹体重および繭層重は対照より減少したが, アラタ体または脳-側心体-アラタ体を再移植するとかなり回復した。
2. R4(♀)×T2(♂) 雌幼虫のアラタ体は, 雄および逆交雑種の雌雄のアラタ体と比べて極端に小さく, 幼虫体重当りの体積として比較した場合もその値は低かった。
3. 4眠蚕の第4齢初期にアラタ体が摘出された早熟3眠幼虫に, いろいろな発育段階の幼虫のアラタ体を移植して, 幼虫脱皮を誘導する能力を調査した結果などから, 分離眠蚕や中部糸腺に縊れのみられる不結繭蚕の出現とアラタ体の機能との関係についても比較検討を行った。

著者関連情報
© 社団法人日本蚕糸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top