1981 年 50 巻 1 号 p. 41-46
カイコの翅原基の分化の蛹初期における様相を知るため, 5齢幼虫期から羽化までの翅原基について, 核酸およびタンパク質量の変化と, 組織および細胞の形態的変化を調べた。
1. 翅原基のDNA, RNAおよびタンパク質量はともに吐糸期と蛹化3-7日の時期に明らかな増加がみられた。
2. 翅原基は組織的には吐糸期に大きな形態変化が観察され, 細胞レベルでは蛹化後の3日間に細胞分化に伴なう形態変化がみられた。なお, りん毛形成は蛹化後3日から開始されていることが明らかにされた。
3. 蛹化直後から2日までの間にDNA合成を阻害すると, 翅の萎縮や不完全なりん毛が誘起された。