日本蚕糸学雑誌
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稚蚕人工飼料育の光線管理に関する研究
II. 齢中期における明暗切替時期と就眠脱皮時期との関係
鷲田 純彦
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1981 年 50 巻 6 号 p. 506-512

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抄録

就眠時期を決定する暗刺激の有効性を明確にするため, 齢の前半を明育, 後半を暗育として暗への切替時期と就眠, 脱皮時期との関係を調査した。
(1) 暗への切替時期を6時間ずつ遅らせると就眠, 脱皮時期も6時間ずつ遅れ, 各区とも就眠は暗切替から30~36時間後に, 脱皮はこれより更に12~18時間後となった。
(2) 切替後の暗期の長さは, 就眠, 脱皮の開始に影響を与えなかったが, 餉食より48時間後の切替時期で, 最低6~4時間は必要であった。
(3) 暗への切替時期が遅く, 切替時の体重が重い程, 眠蚕体重も重くなった。
(4) 齢の前半を明育, 後半を暗育とする各区は, 同時に行った全明育及び全暗育にくらべて, 経過が不斉一であることを認めた。
以上の結果から, 齢の長さ及び眠蚕体重の決定に明暗条件がはたす役割, 及び暗刺激が就眠, 脱皮を誘導する現象について内分泌機構等を考察すると共に, 稚蚕育における応用面にも言及した。

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