日本蚕糸学雑誌
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人工飼料育蚕のウイルス感染に及ぼす抗生物質の影響
渡部 仁
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1984 年 53 巻 2 号 p. 160-164

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抄録
抗生物質 (クロラムフェニコール) 添加あるいは無添加のいずれの人工飼料で蚕を飼育しても, 核多角体病ウイルス (NPV) に対する感染抵抗力, 発病致死期などは同じであり, 致死直前の腸内細菌の異常増殖もみられなかった。このことは人工飼料に添加された抗生物質は, それを食下した蚕でのNPVの感染増殖に何ら影響を及ぼさないことを示している。同様に人工飼料中の抗生物質は, それを食下した蚕での細胞質多角体病ウイルス (CPV) の感染率にも影響を与えなかった。しかし桑葉育蚕および抗生物質無添加の飼料で飼育された蚕では, CPV感染後腸内細菌が異常増殖し, 一定の潜伏期を経た後致死したが, 抗生物質添加飼料で飼育されたCPV感染蚕では致死期が著しく延長する傾向があった。すなわち, 食下された飼料中の抗生物質は, CPV感染に付随して起こる腸内細菌の異常増殖を抑えることにより, 感染蚕に延命効果を生ずることが明らかになった。
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© 社団法人日本蚕糸学会
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