日本蚕糸学雑誌
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腎臓形卵の卵形成過程における包卵細胞の組織学的変化
河口 豊末永 博藤井 博坂口 文吾
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1985 年 54 巻 2 号 p. 122-127

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抄録

卵形成過程における包卵細胞の変化を腎臓形卵と正常卵について比較観察した。コリオン分泌開始以前 (stage 4) の包卵細胞の形は両者共に角柱状を呈し, 細胞表層部域における差異は全く認められない。コリオンの分泌が開始されると (stage 6以降), 両者の包卵細胞に変化が生じ, 包卵細胞の卵表面に局所的変化が認められるようになる。とくに, ki卵では胚域側の包卵細胞が長軸方向へ異常に肥厚伸長するが, 正常ではこのような特徴は認られない。この時期になると正常卵ではその卵形はカイコ卵固有の形となり, ki卵では典型的な腎臓形を呈するようになる。
以上の観察結果からki卵の胚域側の包卵細胞の異常がコリオンタンパク質の合成, 分泌ならびに卵殻構築になんらかの影響を与え, ki卵特有の形態を生じるものと推察した。

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