日本蚕糸学雑誌
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窒素施用量にともなう桑葉中の遊離アミノ酸及び全窒素含有量の変動
桑樹の栄養診断 II
今西 三好
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1985 年 54 巻 3 号 p. 232-240

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抄録

桑樹の窒素栄養の状態を表わす指標を検索するため, 水耕法により窒素の施用量を変えて桑樹を栽培し, 桑葉中の遊離アミノ酸及び全窒素含有率の変動を検討した。全窒素含有率は培地の窒素濃度をよく反映し, 大きく変動した。これと, 発育状況及び観察結果から, 若い葉の全窒素含有率が3%以下では窒素欠乏, 5%以上では過剰の状態にあると考えられた。
窒素施用量が充足域にある桑樹の幼若葉中の遊離アミノ酸は Glu が最も多く, 次いで Asn, Asp, Ala, Ser, Pro, Sar, Arg が多かった。しかし, Asn は葉齢による変動が大きかった。培地の窒素施用量の多少に伴ってほとんどの遊離アミノ酸含量が増減したが, 特に Asn, Arg, Pro, His, Orn, Cit, Lys の変動が大きかった。一方, Glu, Sar, γ-ABA は変動が小さかった。
これらの結果から, 桑樹の窒素栄養状態の診断の指標として若葉中の Asn, Arg 含有量が有用と考えられた。

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