日本蚕糸学雑誌
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弾性限界点以上に伸長された絹糸の染色性
絹の染色機構に影響を及ぼす諸因子に関する研究 第6報
中嶋 哲生清水 慶昭四方 正義木村 光雄
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1988 年 57 巻 3 号 p. 196-199

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抄録

生糸時に弾性限界点以上に伸長された絹糸について酸性染料の等温吸着平衡並びに初期染色速度を測定し, 生糸時の伸長が絹糸の染色性に及ぼす影響について検討した。伸長された生糸は, 炭酸ナトリウムと非イオン界面活性剤の混合溶液にて精練した。染料としては, 特級試薬 Orang II (C. I. Acid Orange 7) を用いた。半無限浴で, 40, 50, 60℃における染色開始から900秒までの染色速度と同温度での, 吸着等温線を測定し, 以下の様な結果を得た。1) 飽和値は伸長されたものの方が少し大きかった。2) 初期における染色速度は, 伸長されたものの方が少し小さかった。このように, 絹繊維の微細構造は伸長されることにより変化を受け, それによって絹繊維の染色性もまた変化することがわかった。

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© 社団法人日本蚕糸学会
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