日本蚕糸学雑誌
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金属塩媒染によるタンニン酸吸着絹の黒染
清水 滉茂木 達宏大川 健介
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1988 年 57 巻 3 号 p. 223-226

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抄録

繊維中にタンニン酸―金属錯体を生成させることによって, 絹の黒染の可能性を検討した。タンニンと鉄塩とによって暗青ないし黒色が得られることから, タンニン酸吸着絹布を種々の鉄塩で媒染し, 発色した色相から, 用いた鉄塩の中では第一鉄塩が有望であることが認められた。タンニン酸吸着絹布に対して第一鉄塩による媒染を数回行うことによって, マンセル色票のN2.25/3.8%Rに相当する赤みの黒色が得られた。更に, 第一鉄塩による媒染と銅塩による媒染とを行うことによってN2/3.1%Rに相当する赤みの黒色が得られた。この絹布の耐光および耐洗濯堅牢度は良好であったが, 耐摩擦堅牢度は最低の値であった。

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