日本蚕糸学雑誌
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テルペノイドイミダゾールを投与したカイコ3齢幼虫における内分泌
黄色 俊一前田 修孝横山 岳普後 一
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1990 年 59 巻 1 号 p. 49-53

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抄録

抗幼若ホルモンおよび抗エクジステロイド作用を有するKK-42を3齢幼虫に投与し, 内分泌に及ぼす影響を頭胸間結紮によって追究した。対照幼虫を経時的に結紮すると, 24, 36時間目の結紮では脱皮の徴候がみられず, 48時間目の結紮では約半数が蛹化し, 60, 72時間目の結紮ではすべて幼虫脱皮した。KK-42投与蚕を結紮した断頭個体は, 対照と異なり60, 72時間目に結紮した場合にも, 一部の個体がJHの欠損により48時間目の結紮と同様に蛹化した。しかし, 就眠の遅れにより可能であった84時間目の結紮ではすべて幼虫脱皮をし, さらに, KK-42投与蚕の幼虫脱皮は, エクジステロイドの分泌が遅れたためにすべて対照より1~2日遅れた。3齢幼虫に1回だけKK-42を投与しても早熟2眠蚕は出現しないが, これは, KK-42漆投与後2~3日間だけ抗幼若ホルモンおよび抗エクジステロイド作用をし, その後, MH放出前にJH分泌が回復するためであると考えられた。

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