1990 年 59 巻 5 号 p. 375-380
菱形の結晶タンパク質を産生する20亜種の Bacillus thuringiensis を材料として, 従来のアルカリ処理法ではなく, 約5分間のSDS加熱処理といったより簡単な方法を用いて, 結晶タンパク質のプロトキシンレベルにおける分子量の比較を行った。この結果, 菱形結晶タンパク質を産生する20亜種の中で, 130~145kDaのペプチドが検出された株では, subsp. japonensis を除き全ての亜種でカイコ幼虫に対する殺虫活性が認められた。しかし, 130~140kDaのペプチドが検出されなかった株では, 殺虫活性が認められなかった。このことから, このより簡便なSDS処理を用いて, 結晶タンパク質の鱗翅目昆虫に対する殺虫活性が判別可能と考えられた。