日本蚕糸学雑誌
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カイコ体液中のグリコシダーゼ活性の発育にともなう変化
中山 伸藤井 修平山本 良一
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1990 年 59 巻 6 号 p. 443-451

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抄録

5齢カイコ (朝日×東海) の体液の性質について検討を行なった。カイコの体重は新鮮重量, 乾物重量とも発育にともない増加し, 虫体の含水率および体液の含水量は減少した。体液の比粘度は4日目から増加したが, pHはほぼ一定であった。これらのことから体液の高分子成分が発育にともなって変化することが示唆された。
体液の高分子画分であるエタノール不溶性画分中の中性糖はマンノース, グルコース, ガラクトースであった。このうちマンノースの含量は発育にともない増加した。そこで糖の変化と関係の深い糖加水分解酵素について調べた。体液中にはα-マンノシダーゼ, β-ガラクトシダーゼ, α-グルコシダーゼの3種のグリコシダーゼが検出された。α-マンノシダーゼ活性は発育にともない急速に活性が減少した。マンノース含量との間に高い負の相関があった。また, マンノシダーゼ活性はカイコを合成幼若ホルモン, メトブレンで処理することによって高まった。以上の結果より, 含マンノース糖タンパク質とマンノシダーゼが発育において何らかの役割を持っていることが示唆される。

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