1993 年 62 巻 6 号 p. 462-470
本稿は中国近代の輸出貿易に占める蚕糸業の経済的地位を明らかにするために, 1840年代は広州と上海の対イギリス輸出貿易, 1850年代は上海の輸出貿易, 1859~1949年は中国全体の輸出貿易を中心に検討した。輸出総額に占めるシルクの割合および主たる輸出品目間におけるシルク輸出額の相対順位を明らかにし, これらの変動要因について検討を加えた上で, 蚕糸業が近代中国の最も重要な外貨獲得産業であり, 輸出貿易において重要な経済的地位を有していたことを数量的に明らかにした。