1994 年 63 巻 3 号 p. 206-213
桑葉粉末を無添加あるいは25%添加し, 蛋白質含量をそれぞれ20, 25, 30%とした6種類の人工飼料を用いて家蚕5齢幼虫を飼育し, 窒素の異化代謝及び利用に及ぼす桑葉粉末の影響について検討した。蚕糞中に排泄された窒素異化代謝物の量は飼料中の蛋白質含量が高いほど多かったが, 桑葉粉末添加の有無で比較すると, 尿酸排泄量のみに大きな差異が認められ, 桑葉粉末を添加した場合に著しく低かった。5齢期間における窒素の食下量や消化率は飼料間で大きな差異がなかった。摂取された窒素の分配, 利用をみると飼料中の蛋白質含量が高くなるほど異化代謝によって排泄される窒素の割合が高く, 繭層に移行する割合が低かった。桑葉粉末添加の有無で比較した場合, 桑葉粉末を飼料に添加したほうが繭層への転換効率が高く, 蛋白質含量の高い飼料ほどその差が顕著であった。