日本蚕糸学雑誌
Online ISSN : 1884-796X
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家蚕の新しい人工授精法の開発
竹村 洋子神田 俊男田村 俊樹新保 博堀江 保宏
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1996 年 65 巻 6 号 p. 456-463

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抄録
窒素ガスボンベ, 圧力調整器, 足踏みスイッチ, 三方電磁弁及びキャピラリーからなる注入装置を用い, 簡便かつ確実・安定な家蚕の人工授精法を確立した。この装置を用い, 貯精嚢及び交尾嚢から採取した精子による人工授精の成功率は極めて高く, 人工授精した雌蛾の産下卵数, 受精卵数及び受精卵率も対照区と比べて差異はみられなかった。
また, 遺伝的マーカーを利用した実験により, 人工授精雌蛾から産下された卵は単為発生などによるものではなく, 受精によるものであることを証明した。また, 精子の運動性と受精能獲得には前立腺分泌液の添加が必須であることを再確認した。
液体窒素中に一定時間保存した後, 融解した精子を用いて人工授精を行った結果, 極めて少数ではあったが受精卵が得られた。
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© 社団法人日本蚕糸学会
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