日本蚕糸学雑誌
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絹のフィブリル化, その処理条件と絹紙の製造
「絹のフィブリル化と絹紙の製造」の第1報
秦 珠子加藤 弘
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1997 年 66 巻 2 号 p. 132-135

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抄録

絹繊維をフィブリル微細化して, それを原料とした絹紙を作ることを目的として, まず絹繊維を細かく分裂させるフィブリル化の方法とその処理条件について検討した。実験は絹繊維のフィブリル化には, アルカリ浸漬処理と叩解の2操作が必要と考えて行った。その結果, 叩解繊維のフィブリル化, 抄紙性, 濾水性及び絹紙の引き裂き強度などの物理的性質は, 水酸化ナトリウム水溶液の濃度に強く依存することがわかった。そして水酸化ナトリウム水溶液の濃度は室温で1日間浸漬する条件で, 2.0%~2.2%が絹の紙を作るのに最も適する方法であると考えられた。
一方, 叩解については木棒を使った手打ち操作は手作業であるので一定のフィブリル化繊維が得られにくいが, 叩解の効果がわかりやすく, 水酸化ナトリウム水溶液の濃度が叩解の効果に影響することや叩解の程度, 叩解繊維が溶液に十分分散するかどうか見極めることができる利点のあることがわかった。

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