1998 年 67 巻 5 号 p. 361-366
保存系統No. 908は濃核病ウイルス (DNV-1) に対し非感受性の優性遺伝子 (Nid-1) をホモにもっている。日150号とNo. 908を交雑したのち, 日150号を反復親とした戻し交雑法により, Nid-1遺伝子の実用品種 (日150号) への導入を行った。毎世代孵化幼虫にウイルスを添食し, 生存蚕をNid-1遺伝子をもつ個体として選抜した。戻し交雑を6世代繰り返したのち, 同蛾区内交配を2回繰り返し, ウイルス添食試験を併用してNid-1遺伝子ホモの系統を選抜した。さらにこの系統の実用形質の改善と向上を図り, 濃核病ウイルスに非感受性の実用品種「日203号」を確立した。この日203号と中150号の交雑組合わせは, 1996年に春蚕用新品種「大成」として農林水産大臣の指定を受けた。