抄録
これまでに提案された蚕の行動モデルを空間内での行動に拡張するために, 蚕が体を固定したときの体の向きを長時間に渡って測定し, 固定位置およびその方向の時系的変化を調査した。さらに, この調査データを元に時間と蚕体移動距離, 移動角度との関係について解析を加えた。この結果, 吐糸行動の主軸方向に対して固定位置の変化に9回程度の疑似周期性が見られた。また, 時間とともに営繭領域が縮小し, 蚕体後半部固定方向が吐糸行動の主軸方向に同心円上に集中してくることが明らかとなった。さらに, 時間と移動角度との関係をモデル化した結果, 蚕が1秒間に約4度の割合で蚕体後半部の方向を変化させていることが明らかとなった。