日本蚕糸学雑誌
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変温条件下におけるクワの生育と乾物生産
福井 邦明
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2001 年 70 巻 1 号 p. 31-36

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抄録

多回育養蚕の普及とともにクワ栽培法が多様化し, クワの生育診断技術の開発が望まれている。本研究ではクワの生育モデルを作成するための基礎データを得るために, 変温条件下におけるクワの生育と乾物生産を調査した。1/2000aポットに植え付けた品種しんいちのせを, 1995年は34/22℃, 32/24℃, 30/26℃ (昼/夜) の変温条件下と28℃, 32℃の恒温条件下で, 1996年は33/19℃, 32/20℃, 30/22℃, 28/24℃, 26℃温度条件下で生育させた。両年とも, 温度処理終了時のクワの枝条長及び枝条乾物重量は, 処理区による違いが見いだせなかった。展開葉数は, 1日の平均気温が同じ処理区では異ならなかったが, 1995年の平均気温が異なる処理区間では有意差が検出された。従って, クワの生育は1日の温度変化によって影響されず, 1日の平均気温に支配されているものと思われた。また, クワの生育の指標として展開葉数が優れているものと思われた。

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