2007 年 64 巻 1 号 p. 1-8
粒径がサブミクロン程度のコロイド微粒子は,粒子間の静電的相互作用が大きくなると,分散媒中で自己組織的に三次元周期構造をとるようになる.この状態はコロイド結晶と呼ばれており,近年,フォトニック結晶への応用から注目を集めている.コロイド結晶は,多結晶体は容易に作製できるが,応用の観点から単結晶作製技術の開発が切望されている.本報では,せん断配向法により cm サイズの大面積領域で光学特性の優れたコロイド結晶を作製できることを報告する.コロイド結晶をエアーパルスを駆動力として平板状のキャピラリーセル内で流動させる.ある一定圧力以上で流動させると,セル全面に均一な単一ドメインを得ることができる.イメージング分光測定や透過コッセル解析から流動配向試料は大面積で均一で,単結晶性の高い結晶組織であることが支持された.また流動配向コロイド結晶では結晶表面からの二次元回折が検出され,これを利用すると格子定数を精度良く測定できることもわかった.