2007 年 64 巻 1 号 p. 21-28
コロイド粒子が形成する配列構造を材料として用いることを目指し,高分子を粒子表面に修飾した微粒子からなるコロイド結晶を包含する薄膜,および高分子修飾微粒子の単粒子膜を作製した.薄膜については,まず有機溶媒中で高分子修飾シリカ粒子のコロイド結晶を形成させ,その後溶媒交換などにより架橋性モノマーを導入し,2 段階にわたって重合することによりコロイド結晶を包含するフィルムを得た.この際,開始剤・架橋剤濃度,セルの厚みなどの固定化の際の重合条件によって重合前後でのコロイド結晶の配列構造の保持状態が異なることが明らかになった.最適条件下において,非常に高い硬度を有するコロイド結晶が得られた.一方,単粒子膜の作製においては,気水界面の高い表面エネルギーを利用し,高分子修飾微粒子を気水界面に展開することにより単粒子膜を得た.高分子鎖のグラフト密度および重合度は,単粒子膜の形成状況に大きく影響し,特に重合度が高い場合に均一な粒子膜が得られた.