高分子論文集
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一般論文
ポリ[2-(メタクリロイルオキシ)エチルホスホリルコリン-b-ジメチルシロキサン]の分子集合性と血液適合性
谷川 将行白石 浩平杉山 一男
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2007 年 64 巻 6 号 p. 373-379

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抄録

新規なドラッグデリバリーシステム(DDS)用キャリヤーポリマーとして,ポリ(2-(メタクリロイルオキシ)エチルホスホリルコリン)(PMPC)セグメントとポリジメチルシロキサン(PDMS)セグメントからなる両親媒性 AB 型ブロックコポリマー poly(MPC-b-DMS)を,分子量を規制した PDMS をもつポリマーアゾ開始剤(azo-PDMS)を用いた 2-(メタクリロイルオキシ)エチルホスホリルコリン(MPC)のラジカル重合を 2-メルカプトエタノール存在下で行って得た.走査型プローブ顕微鏡(SPM)測定から,本ブロックコポリマーの表面はミクロ相分離構造を示した.一方,蛍光プローブ法から,本ブロックコポリマーは水中で分子集合し,平均分子量が Mw=1.56×104~5.72×104 と増大するのに対応して臨界ミセル濃度(CMC)は 90~600 mg L-1 と大きくなった.また,水-メタノール系混合溶媒を用いた 1H NMR における MPC の N(CH3)3 と PDMS セグメントの OSi(CH3)2 のプロトンシグナルの半値幅の変化から,本ブロックコポリマーは水中でコア-シェル型のミセルを形成することを確認した.また,S-2238 とトロンビンとの酵素反応の Michaels 定数から本ブロックコポリマーはトロンビンの酵素活性を促進しないことがわかった.

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© 2007 公益社団法人 高分子学会
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