抄録
ナイロン 6(PA6)と臭化変性ブチルゴム(BIMS)を混練して作製するポリアミド系熱可塑性エラストマーである PA6/BIMS ブレンドは,混練時に用いる PA6 を吸湿させると優れたリカバリー特性を発現することがわかったので,吸湿ブレンドの力学物性,モルホロジーおよび PA6/BIMS 間の反応について検討した.吸湿させた PA6 を用いたブレンド試料の応力-ひずみ曲線とモルホロジー観察から,PA6/BIMS 系でのリカバリー特性はモルホロジーに大きく依存することがわかった.不均一モルホロジーを有する PA6/BIMS は良溶媒であるギ酸によって PA6 を抽出してもシート形状を保持し,PA6 抽出率の増加に伴ってリカバリー特性は改善した.最も抽出率が高い試料(抽出率 90%)ではゴムに近いリカバリー特性を示した.ギ酸で抽出できなかった約 10%の PA6 は BIMS 粒子表面に存在していることが,試料の再成形能などの評価から明らかとなった.また,PA6/BIMS 間の反応を固体 13C NMR 測定によって検討した結果,混練過程(230~270℃)において,PA6 のアミド基と BIMS の臭素部分が化学反応し,ブチル基部分で切断された BIMS が PA6 に結合したグラフト構造が形成されていることがわかった.