高分子論文集
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総合論文
分子鎖からみ合いと異方性に注目した汎用性高分子の構造制御・解析とその応用
上原 宏樹
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2007 年 64 巻 8 号 p. 525-538

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抄録

高分子材料は同じ化学構造(一次構造)を有していても,成形条件によって異なる高次構造を形成する.これを自在に制御できれば,分子鎖レベルの物性をバルク状態に引き出すことができる.したがって,単純な骨格しかもたない汎用性の高分子材料であっても,優れた物性を発現させることが可能である.この際,高分子が鎖状の分子形態を有することに起因して生ずる「からみ合い」と「異方性」が高次構造と物性発現を支配する因子となる.最近,各種の先端計測によって,これら分子鎖レベルの特性解析が可能となり,成形加工過程での分子鎖の振舞いに関する知見が得られるようになってきた.本報では,高分子鎖のからみ合いを解きほぐすことで異方性を引き出す超延伸技術である「溶融延伸」とその構造発展の「in-situ 計測」およびその産業応用について紹介する.

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© 2007 公益社団法人 高分子学会
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