高分子論文集
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総説
高分子の架橋に関する新しい展開:環動高分子材料
伊藤 耕三
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2008 年 65 巻 7 号 p. 445-457

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抄録
高分子の架橋(化学架橋)は 1839 年の Goodyear に端を発する.架橋が高分子材料に弾性という性質を初めてもたらし,今日のゴム・タイヤ産業および高分子産業の興隆に発展したことはよく知られている.Goodyear の発見以来,高分子の架橋については,高分子の基本的な加工技術という観点から数多くの研究が行われ,高分子の科学と技術の中心的な研究開発課題として多くの注目を集め続けてきた.本総説では,まずこれまでの高分子の架橋に関する研究の歴史をゴム材料だけでなくゲルも含めて簡単に振り返る.一方,最近筆者らの研究室では,架橋に関する新しい技術,すなわち架橋点が自由に動く高分子材料(環動高分子材料)を開発することに成功した.架橋点が自由に動くと,高分子材料の力学特性が大きく変化するだけでなく,さまざまな新しい機能がもたらされることから,これらの特性・機能は滑車効果として総称されている.環動高分子材料は,初めは溶媒を含むゲルとして世の中に登場したが,現在は溶媒を含まない高分子材料でも滑車効果の有効性が明らかになっており,高分子材料全般に架橋に関するこの新しい概念が応用されようとしている.本総説では,高分子の架橋に関する研究の歴史とさまざまな最近の研究を簡単に紹介するとともに,最近登場した新しい架橋様式である環動高分子材料について詳しく解説する.
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© 2008 公益社団法人 高分子学会
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