2010 年 67 巻 5 号 p. 271-279
固形レゾールおよびノボラックと有機化モンモリロナイトをそれぞれ二本ロールを用いて溶融混練法により混練し,レゾールおよびノボラック中に有機化モンモリロナイトをそれぞれナノ分散させるための最適混練条件を検討した.次に,得られた最適混練条件でレゾールと有機化モンモリロナイト,およびノボラックと有機化モンモリロナイトをそれぞれ溶融混練して成形材料を作製し,これらの硬化挙動を検討した.さらにこれらの成形材料をトランスファー成形あるいは圧縮成形してコンポジットを作製し,その構造および物性を検討した.得られた成形材料の溶融粘度はレゾール単独あるいは硬化剤入りノボラックからなる成形材料よりは高いものの,炭酸カルシウムのような汎用フィラーを添加した成形材料よりも低かった.また,これらの成形材料から得られたコンポジット中の有機化モンモリロナイトの面間隔は混練前と比べて最大約 2.5 倍に広がり,有機化モンモリロナイトの層間にフェノール樹脂が挿入したことがわかった.また,コンポジットの引張強度はフェノール樹脂単独からなる硬化物と比べて,最大約 50%向上した.