2010 年 67 巻 5 号 p. 288-295
水溶液中で可逆的な温度応答性相分離能を示す有機-無機ハイブリッド材料として,ビス(エトキシエチル)アミド基と N,N-ジメチルアミノプロピル基を有するポリシルセスキオキサン(bEAPSQ)を,それぞれの官能基を含むシランカップリング剤の共縮合反応により合成した.水溶液中での疎水性会合挙動を光透過率で測定したが,bEAPSQ は塩酸を加えた酸性水溶液中では pH 値の低下に伴い,下限臨界溶液温度(LCST)の上昇が認められる pH 応答性相分離能を示した.一方,水酸化ナトリウムを加えた塩基性水溶液中では,LCST の大きな変化は認められなかった.また,アリルブロミドおよびベンジルブロミドを用いたアミノ基の第四級アンモニウム塩化は効率的に進行し,生成した bEASPQ の誘導体ではハロゲン化合物の疎水性を反映した LCST を示した.