2011 年 68 巻 4 号 p. 133-146
血液適合性材料がその機能を発現する表面としてこれまで多くの考えが提案されてきており,①超親水性表面,②ミクロ相分離表面,③細胞膜類似表面,④生理活性分子を固定化した表面などの有効性が報告されているが,④を除き,その理由はいまだ定かではない.本報では,ポリ(2-メトキシエチルアクリレート)(PMEA)を中心とし,各種ポリマーについての DSC, FT-IR および NMR による水の構造解析に関する数多くの研究報告を検討し,この水の構造と密接に関係のあるポリマーの分子運動性と血液適合性との関係について総括的に考察する.