高分子論文集
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総合論文
高分子のab initio統計力学による分子特性解析
笹沼 裕二
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69 巻 (2012) 5 号 p. 198-212

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抄録

高分子の一次構造,すなわち分子鎖を構成する元素と化学結合の並びから,モデル化合物の分子軌道法(MO)計算に高分子鎖の統計力学(rotational isomeric state:RIS法)を組合せ,高分子の二次構造,結晶構造,結晶化挙動,溶液・融液物性,熱物性を評価・予測する方法論を築いた.密度汎関数法やMøller-Presset法の電子相関を含む高精度MO計算でモデル化合物の構造を最適化し,幾何パラメータ,コンホマー自由エネルギーを算出し,RIS法の計算で高分子鎖の基礎物性,諸熱力学量を評価する.幾何パラメータの隣接結合の配座依存性を導入した高精度RIS法,窒素を主鎖に含む高分子のための窒素反転現象を取り入れた反転–回転異性状態(inversional-rotational isomeric state:IRIS)法の統計力学も開発した.窒素,酸素,ケイ素,リン,硫黄,セレンのヘテロ元素を含む高分子鎖のコンホメーション解析を行い,これらヘテロ元素に起因するさまざまな引力的分子内相互作用が分子特性を支配していることを明らかにした.ここでは,理論と計算法の概要とコンホメーションとコンフィギュレーションの解析法を実例で紹介する.

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© 2012 公益社団法人 高分子学会
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