2012 年 69 巻 6 号 p. 260-265
湿潤空気からPMMA/ベンゼン溶液表面上に凝縮する微小水滴をテンプレートとするハニカムフィルムの形成過程を光学顕微鏡で観察した.ガラス基板上にキャスト後,溶液表面にはベナールセルが形成され,セル境界に水滴が凝縮した.水滴はセルの境界部を通って液滴中心部に集合し,孔径の大きなハニカムを形成した.液滴外周部でも外側へ向かう対流が観測され,小さなハニカム構造が形成された.中心部と外周部の中間の領域では水滴が密に配列せず,規則的なハニカムができなかった.外気温が低いほど目の細かいハニカムができる.壁をつけたガラス基板を使って端の効果を抑制すると全体的に均一なハニカムが形成され,液厚に依存して中心部では規則的なハニカムが整列した.また,基板を0°Cに冷却すると終始外周部へ向かう対流が観察され,中心部から中間部にかけて規則的なハニカムが形成された.