抄録
市販樹脂を成形する場合,事前に熱風乾燥し,水分含量を約0.01~0.05 wt%まで下げることが推奨されているが,乾燥前後のその水の存在場所,水和構造およびその役割について,必ずしもよく理解されていないように見える.ビスフェノールAと塩化イソおよびテレフタロイルを使って界面重縮合法で重合すると,分子末端にフェノール性ヒドロキシル基を有するポリエステル:PARFreeが生成し,一方,重合時に分子量調整剤の塩化ベンゾイル:BCを添加した場合,BCでエステル化されたPARECが生成し,PARECはPARFreeに比べて流動性が向上し,無色透明な耐熱性プラスチック光ファイバーを製造できることを報告した.このPARECをジクロロメタン溶媒から室温でキャストすると,生成フィルムはシャーレ表面のガラスを大きく剥ぎ取る現象を発見した.本研究ではなぜこのような大きな剥離力が発現するのかについて考察した.