抄録
タンパク質を除去することにより溶出タンパク質量の低い精製天然ゴムを調製することを試みた.具体的にはリーチングによる天然ゴム手袋のタンパク質の除去および尿素,ドデシル硫酸ナトリウムおよびアセトンを用いた高アンモニア天然ゴムラテックスのタンパク質の除去を行った.精製天然ゴムの溶出タンパク質量および全窒素含有率は改良Lowry法およびKjeldahl法によってそれぞれ測定した.リーチングによるタンパク質の除去では,溶出タンパク質量は86 µg/gに減少し,全窒素含有率はわずかに低下するにとどまった.一方,脱タンパク質化によりタンパク質を除去した天然ゴムでは,溶出タンパク質量および全窒素含有率がそれぞれ0.0 µg/gおよび0.000 w/w%であった.集束イオンビーム・走査型電子顕微鏡を用いてモルフォロジー観察したところ,天然ゴムの非ゴム成分のナノマトリックスは60°C以上のリーチングで消失した.