高分子論文集
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総合論文
共役高分子材料の実用的合成手法の開発
桑原 純平
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2015 年 72 巻 9 号 p. 539-549

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抄録

共役高分子は有機薄膜太陽電池などの有機電子デバイスの材料として期待されており,日々開発が進められている.筆者らはその合成手法に着目し,従来法の課題を克服し高純度な共役高分子材料を低コストで提供可能にすることを目指してきた.芳香族化合物のC-H結合の直接アリール化反応を重縮合反応に応用することで,有機金属モノマーの事前調製の必要がなくなり,金属を含む脱離成分を生じることなく共役高分子が合成可能となった.さらに,脱離成分や触媒添加量の低減を可能にしたことで,得られる高分子が簡便に高純度化できることを明らかにした.ここで達成した材料の純度向上は,トランジスタや太陽電池に応用した際の特性向上につながる.一連の研究から,新たな合成手法を開発することがデバイス特性の向上にも寄与できることを示した.

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© 2015 公益社団法人 高分子学会
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