高分子論文集
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総合論文
イオン伝導パスを有する分子結晶の構築と選択的なリチウムイオン伝導
守谷 誠
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2017 年 74 巻 6 号 p. 482-493

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抄録

超分子を構成要素とした分子結晶は,超分子の構造多様性と構成要素の規則的配列を利用した機能発現が可能であるという魅力的な性質をもつ.この特徴をイオン伝導体の開発に活かせば,新たな固体電解質材料の開発につながることが期待される.これまでの報告から,分子結晶中におけるイオン伝導性の発現には,結晶構造中にイオン伝導パスを構築することが重要であることが示されているが,分子結晶を利用した電解質開発に関する研究例はいまだ限定的であり伝導パスを構築する手法も確立されているとはいえない.そこで筆者らは,分子結晶中にイオン伝導パスを構築する簡便な手法の確立を目的として,リチウム塩と小分子の自己集積化を利用した分子結晶中でのイオン伝導パス構築を検討してきた.本報では,筆者らがこれまでに合成した分子結晶について,結晶構造とイオン伝導性との相関に焦点を当て概説する.

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© 2017 公益社団法人 高分子学会
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