高分子論文集
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原著論文
フェノール系酸化防止剤含有ポリエチレンの熱酸化過程の可視化
岡田 きよみ
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2019 年 76 巻 3 号 p. 207-215

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抄録

本研究は,フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)イメージング法を用いて,ポリエチレン(PE)製品初期の酸化過程および酸化防止剤挙動を可視化して明確に示した.まず,ヒンダードフェノール系酸化防止剤を用いたPEのフェノール基3615 cm-1/3650 cm-1のピーク面積比率が酸化変化を感度よく表していることを見いだした.次に,フェノール基ピーク面積比を観測することにより,60°C大気中の0時間~11300時間において,(i) PE内部では時間の経過とともに緩やかにPEの酸化が進むが,酸化防止剤は酸化抑制効果を発揮している状態であること,(ii)酸化防止剤は,PE内部から外部へ移動してPE界面に析出してくること,(iii)析出した酸化防止剤は,時間の経過とともに表面から酸化され,とくにPEと析出した酸化防止剤の界面では,経過時間とともにROO•が増加して有効性が失われること,を確認した.

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© 2019 公益社団法人 高分子学会
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