抄録
単分散コロイド微粒子の三次元周期配列構造体であるコロイド結晶は,フォトニック結晶への応用が期待でき,注目されている.とくにコロイド結晶を高分子ゲルで固定したゲル固定コロイドフォトニック結晶は,外部刺激によるゲルの体積変化を利用して光学特性をチューニングできる特徴がある.そのためチューナブルフォトニック結晶や,光学ストップバンド波長やブラッグ反射色変化から計測できる各種センサーへの応用が期待されている.本報では,ゲル固定コロイドフォトニック結晶における筆者らの最近の一連の研究成果を紹介する.まず筆者らが開発したエアーパルス流動システムにより,センチメートルサイズで単結晶のコロイド結晶フィルムを作製できることを述べる.得られた結晶は光重合により結晶の品質を保持したままゲル固定できる.その後,ゲル固定コロイドフォトニック結晶フィルムの溶媒置換や温度変化によるチューニング例を示す.とくに共重合ゲルで固定したコロイドフォトニック結晶は,多様なチューニング特性を示すことを述べる.また室温で蒸発しないイオン液体がゲル固定コロイドフォトニック結晶の膨潤溶媒として有用であることを述べる.